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【番外編】代表に聞いてみた!其の弐(後編)

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【メディア・ワン 代表インタビュー】
趣味は散歩や料理など、「時間がかかること」。
理由は「企画やナレーションを考えながらできるから」という、趣味=仕事、根っからの「映像人」である弊社代表・奥村健太に、若手社員(高橋美波・2020年入社。通称:たかみな)がインタビュー!

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株式会社メディア・ワン 代表取締役
プロデューサー/ディレクター
奥村健太 (おくむら・けんた)47歳 最近、酒が翌日に残るようになり、「歳」を痛感している…。
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※今回は前編、中編、後編の三部作の【後編】です。

Q:さて、ここからは私が個人的に気になることをいくつか聞いていきたいと思います。
奥村さんが今、会いたい人、面白そうだなと思う人はいますか?

A:会って話を聞きたい人…そうだな…菅首相とか。このコロナ禍で安倍さんのあと、どうして総理大臣をやろうと思ったのか、すごく気になっている。普通、こんな火中の栗を拾わないよね?…あとは小池都知事かな。俺、小池さんのスーパーアンチなんだけど(笑)。

Q:政治家って人格や顔以外にも、色々な「顔」がありそうですしね?

A:俺、ニュースJAPAN(かつて放送されていたフジテレビ夜のニュース番組。MC安藤優子、木村太郎。)のときに、めちゃめちゃ取材したんだよね、政治家を。それでいっぱい、それこそ数え切れないくらいVTRを作っているし、それぞれの人脈が今にも活きているんだけどね。その後、TBSで「みのもんたの朝ズバッ!」を立ち上げた時にも、本当にありとあらゆる政党と政治家の取材をしたんだけど、永田町ってこうなってるんだってことがよく分かった。日本の中枢を垣間見られたというのは凄く勉強になりました。

Q:一度、私も目の当たりにしたいですね。

A:政治の世界ってのは、すごく面白くてね。例えば選挙だと、有権者に「自分はこうしたい」「こういうビジョンがある」っていうのを、一人ひとり口説いて、自分の考え方を理解してもらって一票もらう、っていうことの繰り返しなの。それこそ選挙区を毎日のようにまわって、これを延々と繰り返す。こうやって説得して、説得してってことを繰り返すことのできる「ものすごい」熱意がないと、絶対に勝てない。結局、現代日本でできる「唯一の戦争」が選挙だからね。法に触れずに、ありとあらゆることを何でもやるってことが選挙。まぁ、そういうことができなかった人が、最近もニュースになってるけどな(元法相の買収事件)。

Q:戦いなんですね。

A:そう、戦いなの。裏側が見られるのがすごく勉強になるし、その中でこういうことを考えて、実行に移せる人が日本を動かすんだなって強烈に感じた。選ばれた人たちがどうやって法律作って…法律って結局さ、役人もつくるけど議員が作ったりするじゃん、議員立法っていうんだけど。あれって結局、コンピューターで言うところの「プログラム」なわけよ。

エラーがでないように条文を書くっていうのが立法で、その立法のミスが出ないように本当にスゴイ細かいところまで詰めてくのね、議員さんたちが役人と一緒に。取材をしていて「なるほどね、こういうふうに。プログラミングと一緒なんだ」って初めて気づいた。だってミスが出たら、法の抜け穴になるわけだし。1つ条項を変えるだけで解釈も違うっていうのができちゃマズイじゃん。絶対それしかできないようにするわけだから。

だから法律ってすげぇなって思うし、逆に法律を作る立場にいるのが議員じゃない?そういうところのトップ機関にいる人たちって面白いんだよね。酒を飲んでるだけじゃないしさ。もちろんずっと宴会をしているイメージもあったんだけど、根回しもしっかりやりつつ、やりたいこと実現させてくって意味では、ホントこれも「斬り合い」だからさ。面白いな~、と思って見てた。

Q:なるほど。次は話をガラッと変えて、最近気に入ってるコンテンツはありますか?
この前は『呪術廻戦』と答えたようですが。

A:漫画だと…『呪術廻戦』はテレビアニメが終わっちゃったので、いまは自分の漫画の原作が大変かな。

Q:聞くところによるとドキュメンタリー2時間番組をつくるより難しいとか。

A:だってセリフを考えて、書くの大変じゃん!

Q:今まではセリフ書くって作業がないですもんね?

A:ない、ない、ない、ない!だって(ドキュメンタリーは)あったことを上手く編集してストーリーを作るもんだし。イチからセリフを考えて書くのは大変よ?

Q:視点が逆ですよね、私たちはON(※取材対象の発言のこと)を受けて…

A:(頷いて)ナレーション書いたりするじゃんね。

Q:漫画の作り方とは逆ですからね。コンテンツや情報摂取でいうと、奥村さんはよく新聞を読んでるイメージですが、サイトはどういうのを見たりしますか?

A:ネットのサイトほとんど見ないんだよね、俺。基本は、新聞とテレビと、あとはTwitterとかで気になるやつクリックするとか。中でもよく出てくる東洋経済オンラインとかは、たまに読むかな。やっぱ新聞で気になったことを、自分から一次情報を調べに行くので、まとめサイトとか一切見ない。むしろまとめサイトは大嫌い。記事を書いた人のバイアスに乗っかって物事判断するのがホントに嫌なので、気になったら自分でカタカタカタカタって調べて、時間があって可能であれば元データのところまでいくかな。

Q:あとは本ですかね?

A:本はたくさん読むよ。吉村昭って知ってる?俺、吉村昭の本がめちゃめちゃ好きで、昔すごく読んだの。最近は『ポーツマスの旗』っていうのを改めて読み返してみたんだけど、やっぱり面白い。日露戦争の話なんだけどね。

Q:ポーツマス条約の?

A:そう、まさにそれ。あれなんかは凄く良かったよ。歴史もので。
小村寿太郎がポーツマスに日露戦争の後始末をしに行くんだけど、賠償金がもらえないのと、樺太も半分は還しちゃうのとで国民が大暴れするわけ。「ふざけるな!賠償金を獲れ!」って。もうこれ以上、戦争なんか続けられないっていうのはもちろん、国がそんな危ない状況だよってことも、政治家も新聞とかで言えないわけじゃない。そんなことがロシアに知られたら交渉で不利になるから。

そうやってギリギリの情報を操作したのが裏目に出ちゃって、「勝っているはずなのに賠償金獲れないのはおかしい」って大暴動が起きるわけ。今のコロナ禍の状況にそっくりだよ。「給付金よこせ」ってみんな言うじゃん。そんな金なんかねぇよって、ちょっと考えたら分かると思うんだけどね。そういう所も含めて、今の日本にそっくりだなって思ったりするんだけど、吉村昭はそういう記録・歴史をすごく調べて書く人なのでドキュメンタリーを撮る際の勉強にもなる。
他にも『三陸海岸大津波』っていう本もあって、これは過去の3度の津波ね、明治の津波・昭和の津波・チリ沖地震っていうのを克明に記録しているドキュメント本があるんだけど、それは10年前の東日本大震災のときに、また爆発的に売れたの。3回あって4回目…みたいな。その時にこの本読んでいて、昭和、チリ沖地震、平成と、3回の津波を乗り越えたおばあちゃんの取材につながって…。それはそれで良かったなって気がした。

(※震災1年後に取材に応じる故・赤沼ヨシさん。)

Q:今コロナ禍で『ペスト』が読まれているのに通ずるものがありますね

A:そうそうそう。カミュの「ペスト」も、是非読んでください。そういうので知識を得たことが多いかな。

Q:情報の確実性や一度に入ってくる情報量の意味でも本や新聞は強いですよね。

A:そう、ネットでまとまっているものって、結局、ユーザーが興味のあるものしかクリックしないわけじゃん。だけど新聞って、バサーって広げると興味がない記事も自然に目に入ってくるわけ。それを見て「あれはなんだ?…ほうほう、そういうことか」っていう気付きがあったりとかするので、新聞はオススメ。逆に新聞を読まないと、情報が入りきるかなって気もするくらい。

Q:それでは最後に、今後のメディア・ワンでの番組作りをどう見据えていますでしょうか?

A:早くても来年夏くらいまで海外には取材に行けないと思ってる。今年、本格的にやろうかなと思って、準備を進めているのは、BBCとかフランス2とかの海外のテレビ局に向けて、こっちで撮って作って、向こうでOAするってことだね。

Q:こっちが現地になるみたいな。

A:そうそう。それをちょっとづつ進めているところ。向こうの言っていることを理解して、向こうが面白いと思うものを作るって、めちゃめちゃ大変なんだけど。徐々にチャレンジしてって来年ぐらいから本格的にできるといいな。需要の問題だよね。日本ってデスティネーションとしてはすごく人気のあって良い所だから。春夏秋冬もあるし、キレイだし、寺社仏閣もあるし、1000年以上の歴史が有形無形で残っているわけだからさ。

世界中50か国に取材に行って思うけど、日本って世界で一番良い国だと感じている。最近、めちゃめちゃ雨が降るけど、季節に応じた景色があるだとか、文化があるとか、人もいいし。そういうことを世界に発信するってコンテンツを、海外の依頼で作って向こうで放送するっていうのは継続してやっていきたいな。昨年、遠隔で番組ができることがわかったから<※たかみな注:昨年度は遠隔で現地のカメラマンに撮影してもらい、海外番組の制作することに成功しました>、逆にこっちが向こうに言われて作るっていうのは、十分にアリだなって思ってるのでそれを実現させたいなと思います。(番外編に続く)

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