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テレビ版2025年問題・世界の国境を歩いてみたら…の場合



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おはようございます。
株式会社メディア・ワンの代表取締役、奥村健太です。
急に寒くなったり暑くなったりと気候が安定しませんが、体調など崩されておりませんか?

さて。
今日はちょっと、ほんのちょっとだけ「テレビの将来」について考えてみたいと思います。
というのも、ここ最近、会社説明会(2019年度新卒採用はじまってます!)や講演などで、

「テレビって将来どうなるのでしょうか?」

と聞かれることが多くなってきました。
SNSや、週刊誌の見出しには「テレビ凋落」「テレビはオワコン」などの文字が踊ることも珍しくなくなり、寧ろそれをベースにして「テレビ」が語られることがほとんどとなっています。テレビを視聴する人の数が減り、それによって視聴率が下がり、広告出稿が減る、テレビ局の収入が減る、で、番組制作費が下がり、番組(コンテンツ)がつまらなくなって、更に視聴率が下がる(※以下繰り返し)という、俗にいう「負のスパイラル」です。

確かに日本人のテレビ視聴時間は減っていまして、総務省が大規模調査しているデータがこちら。

「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc262510.html

このデータをみると、テレビを見ている時間が最も長いのは60代以上だとわかります。テレビは年代が上がっていくにつれて視聴時間が長くなっていく傾向がありますね。ついでにネット利用については20代がもっとも多いことがみてとれます。個人的にびっくりしたのは、10代が新聞をほとんど読まなくなっていることですけどね。0.3分って、それ、触ってもいないってことですよね?テレビの将来よりも新聞の方が危ない気も。余談でした。

…ということを念頭においてテレビ番組の視聴者層を考えると、

■時間に余裕のある…(テレビをみる時間がある)
■しかも購買力のある…(CMを見て商品を買ってくれそう)
■60代以上!(視聴者区分でいえばM4、F4層)

が最大のボリュームゾーンであるということは、いうまでもありません。
拙書「映像メディアのプロになる!」(2010年発行)でもこの点に言及しておりますが、昨今のテレビ番組はM4F4層をターゲットにしたものが多いのも頷けます。
4月からはじまったBS11「世界の国境を歩いてみたら…」も例外ではなく、本格志向のオトナ、年配の方々に楽しんで頂けるような番組を目指しております(※こっそり宣伝)。

…なんですが、ここにテレビ版「2025年問題」が立ちはだかります。
社会保障の問題などで使われる用語ではありますが、簡単に説明すれば…

2025年の日本は、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となります。
国民の30%が65歳以上、20%が75歳以上という、人類史上初の『超・超高齢社会』がやってくる、これが2025年問題です。

現在のテレビ視聴者層のメインである高齢者の方々が、歳を重ねて大往生されていく一方で、テレビを見る習慣のない層がどんどん増えていく…。高齢者の方々の購買力もどんどん落ちていくのは想像に難くありません。今の時代はもちろんだけど、2025年にテレビは一体どうなっちゃってるの?そんな時に高齢者「だけ」をターゲットにした番組を制作していて良いのだろうか?テレビマンであれば一度や二度は考えたことがある難題です。

実は、僕がテレビ番組を設計する(構成を書く、とも言います)時に一番重要視しているのがここです。
もちろん、視聴の最大ターゲットは高齢者であることは間違いありません。もうね、タレントさんたちがワーワーキャーキャーしてるだけの番組は見飽きちゃったんですよね、皆。そんな中で、僕たちが描こうとしている「本物」の世界、ドキュメンタリーを一番理解してくれるのが、この高齢者層であることは動かしがたい事実ですし。

ですが、それだけにとどまらず、同時に「おじいちゃんおばあちゃんと一緒に、孫の世代が見ても楽しめる番組」を目指すべき必要があると考えています。孫が「#国境ハンター、頑張れ!頑張れ!」と思わず応援したくなる番組、見終わったあとに「ベトナムとカンボジアの歴史というのはね…」「ねーねー、あれってどういう意味なの?」などと食卓の話題になるような番組、見終わったあとに「何か語りたくなる番組」…今ではほとんど死語になってしまった感のある「お茶の間」復活の一助になるような番組を目指すべきだと思うのです。僕がこれまで手がけてきた「封印された三蔵法師の謎」や「Earth Walker」などでもそうしてきましたし、実際にお孫さん、お子さんと一緒に見て頂けた方々も多かったようです。子どもたちからも手紙やメールがたくさん届いて、こっそりガッツポーズしたのを思い出しました。若年層が「テレビを見て面白かった」「あの番組を見て面白かった」という体験を持たずして、視聴習慣は生まれませんし、テレビというメディアのプレゼンスも決して高まることはないと考えています。

で、ここで冒頭の質問の答えです。

>「テレビって将来どうなるのでしょうか?」

広告宣伝媒体としてのテレビは決してなくなることはないと思います。テレビ以上に、「一度」に、「大量」に、「同時」に「同一内容」の情報を届けるメディアは今後も出てこないでしょうし、テレビを超えるものは存在し得ないと思います。

ですが、その中身=番組が、他メディア以上に高品質であるという保証はありません。若年層のネット視聴時間がテレビのそれより多いのは、ネットのコンテンツの方が面白いと感じているという、動かしがたい現実があるからです。われわれ番組の制作者は安易な映像コンテンツづくりではなく、「本物」、つまり誰でも楽しめる(誰でもわかるという意味ではありません)コンテンツをつくる努力を怠ってはいけないと考えています。「本物の番組」「本物の映像」を作ることができれば、市場は日本だけにとどまりませんし、そこには大きなビジネスチャンスも転がっています。いま「本物」を制作する能力、ノウハウを持つ制作者と制作会社はどんどん減っています。テレビ局に人材を派遣しているだけでは、ノウハウも蓄積されていきませんし、会社としての「戦闘力(制作力)」が上がることは決してありません。これを持つ集団、これを持とうと志向する集団は、今後間違いなく成長していくと思います。これだけは自信を持って良いのですが、日本の映像コンテンツ制作技術は世界でもトップクラスです。世界中でロケのついでにたくさんのテレビ番組を見てきましたが、これホント。

…ということで、
世界の国境を歩いみたら…
BS11にて毎週金曜日よる6時59分~(2時間近くあります)是非、ご覧ください。

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