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コラム


語られなかった東日本大震災 ~Episode 21~

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『首都直下地震 震度7』

2011年3月11日…
東日本大震災発生からまもなく1年が経とうとしている。
そんな中、
文部科学省は首都直下地震に関する新たな数字を発表したのだった。

「『震度7』相当の地震が発生する可能性がある」

先月21日、首都直下地震の一つとして想定されている東京湾北部地震について
「最大震度7」の巨大地震が発生する可能性があると発表したのだ。
これまで震度6強を想定していたのだが、
東京大学の地震研究所の調査により、一段階レベルを上げる結果となった。
さらに今日には、震源となるプレート境界が従来の想定よりも
10kmほど浅いことが判明し、ますます「震度7」は現実味を帯びて来た。

果たして「震度7」とはどの程度の揺れなのだろうか…。

私は千葉県船橋市にある防災センターを取材し、
「震度7」の揺れを疑似体験することにした。

テーブルと台所、さらには本棚が設置された4畳ほどの大きさの部屋。
これらの家具には、転倒しないためのストッパーがついていた。

「それでは地震体験スタートします」
担当者の掛け声とともに、部屋がグラッと揺れ始めた。最初は震度3。
そこから10秒毎に一段階ずつレベルを上げていく…そして…

 

「震度7」


これは、記憶の中をいくら探しても見つからない、
今までの揺れとは全く比べものにならない衝撃だった。

…何もできない…。

四つんばいでも身動きが全くとれず、どうしていいのかわからない状態だった。
「…ハァ・・・ハァ・・・ハァ…」
約1分間の地震体験…それが終わってもしばらくの間、頭がグラグラと揺れ続けていた。
全く動けなかったにもかかわらず、息は上がり、まるで全力疾走した後のようだ。
「震度7」
あの日、東北を襲った巨大地震がこれほどのものだったのかと
考えるだけで身震いがする。

東京23区でも最大震度5強を記録した東日本大震災の揺れ。
私の家では本棚から本が一冊落ちただけで、大きな被害はなかったのだが、
あの日の揺れと比べても「震度7」がケタ違いであることは明白だった。

落下物や揺れに翻弄され、自由意思で行動できない。
ほとんどの家具が揺れにあわせて移動する。
テレビ等、家電品のうち数キログラム程度の物が跳ねて飛ぶことがある。

これは気象庁の「震度階級関連解説表」に記された「震度7」の定義だ。
上記からもわかるように身動きがとれなくなることはもちろん、
震度7は家具の転倒や火災などによる二次被害も引き起こしやすい。

新潟中越地震・中越沖地震の際には、
負傷者全体の中の約5割が家具の転倒によるものだということがわかっている。

「いつ来てもおかしくない」震度7の巨大地震…。
3月11日が目前に迫っている今、
できることから防止策を施しておくことが大事なのかもしれない。
…と書いてみたものの、「震度7」を体感した後の僕には、
それがいったいどんな策なのか、思いつかなかった

 

文責:制作部 小島典浩

 

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